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当別院僧徒 教化活動レポート『思いは東北!』~最終章~

最終章  これからも寄り添い続ける

いよいよ最終章になりました。
今回のレポートは第4版となります。書き始めた理由については、高速道が雪のリスクの高い冬場にはいかない、でもじっとしているのは歯がゆい、ならレポートを書いて少しでも東北のことに関心をもってもらおうとの考えからです。
そして今回のレポートからスタイルを変えてみました。そうです、写真の挿入があります。以前のレポートには写真の挿入がありません。
私たちボランティアが被災地で、被災直後に現場を写真に収めることは、被災者のお気持ちを慮ってしてはならないことです。
ましてや被災者を写すことなんて、絶対のタブーです。
野次馬が興味半分にシャッターを切るなんてことは、許されません。
ただ、報道関係者が写す分には、致し方がありません。
そして、ある程度被災者、ご遺族の心が落ち着いたであろう時期には、広く世間に知ってもらうべく、ご理解願いたいと思います。

今回のレポート作成に当たり、写真を挿入することにより、すんなりと記録を進めていくつもりでした。しかし、もって生まれた性格がそうをさせません。
思い上がりかもしれませんが、理不尽なことが許せない、強烈な批判、意見に説法臭いお話をしてしまいました。

こうしてレポートを書いているうちに、良いことも悪いことも起こっています。
ウクライナではロシアの侵攻により、理不尽にも国土が踏みにじられ、多くの犠牲者が発生しています。米欧を中心とする世界から支援を行うも、未だ和平に至っていません。今の私にできること、ウクライナ大使館に手紙と支援金を送りました。
3月23日 ウクライナ大統領 ゼレンスキー氏が国会でオンライン演説を行いました。
「皆さんもこの気持ちがお分かりになると思いますが、ロシアの侵攻で破壊された都市に人々が戻れるように、ウクライナの復興について考え始める必要があります。故郷を離れなければならない、でも故郷に戻りたいと思うことは..。」
日本でも抱えている福島原発事故問題、北方領土問題と同じく、故郷に戻りたくても帰れない、このことと重ね合わせています。
日本が内だけを見るのではなく、目を外に拡げて海外でも悲しみを抱えている人たちに寄り添わなければいけません。

そして目をもう一度東北に向けてみます。
3月16日 福島県沖で震度6強、3月18日 岩手県で震度5強の地震が発生しました。
11年前の3.11の惨事に心を寄せていたのに..。  自然の驚異、追い打ちはあまりにもひど過ぎます。犠牲者、家屋の倒壊、家具の散乱..。
震災を思い起こして恐怖に震えたと聞きます。心に傷を持つ人、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされている人は多くいます。いつになったら心の平穏が訪れるのでしょうか。

さて、暗い話の中にも明るい話題もありました。大相撲春場所において福島出身の新関脇 若隆景が優勝しました。祖父は元小結、父親は元幕下、長兄は幕下、次兄は幕内力士と相撲一家です。体は決して大きくない、されど下から押し上げる圧力で相撲を取る正攻法の力士です。被災地に元気と力をもたらしてくれました。今後の活躍を期待します。
そして、そしてです。レポートを仕上げている最中にプロ野球ロッテマリーンズの佐々木朗希投手が完全試合、連続奪三振記録と1試合奪三振タイ記録を達成しました。若干二十歳の彼は、陸前高田市出身、東日本大震災でお父様と祖父母を亡くされています。続いての登板でも8回パーフェクトです。
浄土真宗のご本尊は阿弥陀様、ですから私にはこう聞こえてきます。
「辛い出来事にも負けずに頑張った、ご褒美を差し上げましょう」
東北、岩手に希望の光をくださいました。

ただ、若隆景関も佐々木投手も一人で偉業を成しえたわけではありません。
家族がいて、指導をしてくれる方がいる。周りに支えられてのことです。
以前のレポートにも書きました。「人」という字は、支えられています、支えています。あなたも人を支えてみませんか、支えられてみませんか。

序章で書きました。
「忘れないでください、物は挿げ替えれても亡くなられた方は蘇りません。私の考えが正しいのか、間違っているかは別として、震災、災害で心に傷を負われた方のことを忘れないでください。被災地を忘れないでください。このレポートが震災、災害を再び考えるきっかけとなることを願っています」

最後までお読みくださり、ありがとうございます。
人の考えはそれぞれに異なっています。しかし、きっとあなたの思いは心に悲しみを抱えた人へ届くと信じています。  合掌

*ネット等より記事、写真等の無断転用をお許しください。
*乱文乱筆、誤字脱字をお許しください。
*犠牲者のデータは2022年3月、原発避難者のデータは2022年2月のものです。
*追悼旅の実施にご理解、ご協力を賜りました方々に感謝申し上げます。