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当別院僧徒 教化活動レポート『思いは東北!』~序章~

『思いは東北!』 当別院僧侶が見た東北の11年後 追悼旅


§序 章  僧侶となった男の追悼旅

令和4年、震災発生から11年を経過しましたが、ご家族を亡くされた方々の心の傷は癒されることはないものかと思います。あらためましてここに謹んで哀悼の意を捧げます。

4年前の62歳、私は現役リタイヤと同時に得度して僧侶となりました。
今まで病院職員としていろいろな方々の人生に関わり、災害ボランティアとして、被災地支援を継続してきました。そして、今後も悲しみを抱えた人に寄り添いたい、その方便(手段)として得度に至りました。
東北訪問の前回、8度目は若葉マークの浅学な僧侶であり経本とお念珠をもって、各地で拙いお声明をさせていただきました。コロナ禍において3年間、行きたくてもいけない日々が続き、どうしても行きたくて9度目を計画しました。
今回も浅学な僧侶に変わりはありませんが、若葉マークも取れたことなので装束も携えての訪問となりました。

ご住職ご染筆の竹灯籠

加えて被災地に竹灯籠を持ち込みました。
私は今年から兵庫県三木市で竹灯籠を作り、追悼式などを通じて人の悲しみに寄り添う団体「神戸心絆」の活動に参加しています。竹灯籠を神戸心絆でいただき、その竹灯籠には浄土真宗大谷本願寺派 本山東本願寺のご連枝、かつ別院本願寺眞無量院のご住職であられます大谷飛鳥さまのご染筆を賜りました。(参照:下記写真)

南無阿弥陀仏のお名号と
亡き人を偲びつつ 如来の御教えに遇いたてまつる」

とお書きくださり、悲しみを抱えている方へのお心を表されてくださいました。深謝いたします。


さて車中泊主体の追悼旅ですが、行程に従って震災後の被災地の状況を写真を用いてご紹介してまいります。(*原発事故関係は後に回します。)

とりあえず行程を整理しておきます。


◎3月4日(金)

本山東本願寺

自宅から一般道路にて本山東本願寺 (京都市山科区)に向かい、ご染筆賜った竹灯籠を受け取ります。
時間もあり、一般道にて四日市ICを目指します。目測誤り、事故渋滞、迂回で計画より大幅に遅れて伊勢湾岸道路に乗ることになります。新東名、東名、圏央道を走り、常磐道の最初のPAにて車中泊とします。時間は24時少し前となりました。


◎3月5日(土)

柳美里さんの本屋

谷田部東PA出発、いわき勿来ICで降りて一般道に。
福島県と宮城県を北上する国道6号線を走ります。原発事故被災地域を通過、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、南相馬市…
土地勘も乏しく、運転に注意したので、ただ状況は確認しただけで、気になるところは帰り道に写真に収めることにします。
南相馬市では災害ボランティアセンターはコロナ禍で閉鎖中、とりあえず計画していた作家 柳美里(ゆう みり)さんの本屋に立ち寄ります。が、生憎と不在です。仕方なく車を北へ、道の駅そうまで2泊目の車中泊となります。


◎3月6日(日)

普門寺

次の目的地の山元町を目指します。
山元町では、JR坂元駅、中浜小学校に立ち寄り、目的の夢ファームには昼前の到着となります。コロナ禍で来場者もなくてすることがなく、町の慰霊碑、一般墓地と曹洞宗普門寺を回ります。
夜は夢ファームの借りている地区の集会所にての宿泊となります。



◎3月7日(月)

夢ファーム

動物に朝のえさを与えるお手伝い、その後も特にすることがない。
夢ファームの職員の夕ご飯づくりのため、食料の買い出しへ。
おでんを作り、夕方には仙台方面に北上。
国道6号線、国道4号線で仙台市に隣接する富谷市へ、今夜は公園の駐車場で車中泊です。




◎3月8日(火)

結願寺にて

富谷市で後輩僧侶のお寺 結願寺において朝の勤行を一緒に行う。
竹灯籠に初めて灯をともします。
結願寺を出発、岩手県大槌町を目指します。思ったより早く到着したので、風の電話を訪問。その後、三陸花ホテルはまぎくを訪問、慰霊碑へ追悼声明すべく申し出る。追悼声明を終え、社長と面談して現状をお聞かせいただきました。
反転して南下、釜石の追悼施設うのすまい・トモスにてお声明実施。さらに南下して陸前高田市の道の駅高田松原での車中泊となる。



◎3月9日(水)

奇跡の一本松

奇跡の一本松でお声明、今泉地区をみて陸前高田診療所を訪問する。
所長の伊東先生との面談後は道の駅に戻り、車中泊となる。






◎3月10日(木)

震災復興祈念公園 慰霊碑

朝、 防潮堤でのお声明を済ませ、気仙沼市へ移動。山頂の慰霊碑にてお声明を行う。
その後、南三陸町へと車を進めます。
南三陸町防災対策庁舎周辺は整備されています。
公園山頂の慰霊碑にお声明を行い、周囲の道などの確認を行い、明日に備えます。
今夜は公園と川を挟んだ反対側、さんさん市場の駐車場に車中泊となる。予定の変更となる。





◎3月11日(金)

防災対策庁舎

東日本大震災から11年目の朝、防災対策庁舎でのお声明から始まります。
その後、大川小学校に移動。
結願寺一行と一緒に追悼声明、終了後は一行と別れて雄勝病院慰霊碑でのお声明実施。女川町に移動すると結願寺一行とばったり出会う。町役場での追悼式につかまり動けず。
追悼式終了後は町の慰霊碑にお声明を。近くにある銀行でも追悼しており、お声明を申し出る。
女川町を後にして名取市閖上地区を目指す。ここで神戸の仲間と合流予定、が渋滞に巻き込まれて予定時間を大幅に遅れる。閖上地区の住民との交流会に遅れて参加、今晩はホテル泊となります。


◎3月12日(土)

原発被災地域

9時にホテルを出発、写真を撮り損ねた原発被災地域を南下します。
いわき湯本から常磐道へ、圏央道、東名、新東名、伊勢湾岸、新名神、名神で大津SAには24時前の到着、ここで車中泊となる。





◎3月13日(日)

本山本堂 御本尊

京都東インターで降りて本山東本願寺に向かいます。
ご本尊に帰還を報告、僧侶にお供えをお願いする。
京都駅前にある別院本願寺眞無量院でのお勉強に参加、これを終えての帰宅は19時を回っていました。

以上、10日間 走行距離2,600Kmの追悼旅でした。


私の東北訪問は、自分の目で東北の現状、復興状況を確認したいからです。東北の人たちとお話をして、彼らの考え、思いを受け止めたいと考えています。発災から11年も経過すれば、東北は十分に復興していると思っている人達は多くいます。ましてや発災27年の阪神淡路大震災は忘れ去られた感があります。

中越地震、奥尻島地震、熊本地震、西日本豪雨災害… 日本での自然災害は後を絶ちません。

忘れないでください、物は挿げ替えれても亡くなられた方は蘇りません。
私の考えが正しいのか、間違っているかは別として、震災、災害で心に傷を負われた方のことを忘れないでください。
被災地を忘れないでください。

このレポートが震災、災害を再び考えるきっかけとなることを願っています。


*乱文、誤字脱字をお許しください。
*犠牲者のデータは2022 年 3 月、原発避難者のデータは 2022 年 2 月のものです。
*レポートは自由にお使いください。
*追悼旅の実施にご理解、ご協力を賜りました方々に感謝申し上げます。

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