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平成29年度 吉崎御坊 報恩講厳修

去る日、本願寺眞無量院吉崎御坊(福井県あわら市)において報恩講が勤修されました。別院や手次寺である末寺では、報恩講のことを“御取越(おとりこし)”と呼び、本山で勤まる報恩講に先駆けて勤まります。

 本年の吉崎御坊の御取越は11月4日に行われました。平成23年より続く吉崎御坊の報恩講は本年で実に6回目。本年も大勢の参詣者が御坊の報恩講に訪れ、宗祖親鸞聖人の御遺徳が盛儀に讃えられました。

 当日朝方、地元の門信徒ら(仏恩報謝団)は報恩行に勤しむため、御坊に足を運びました。堂内外の掃き掃除や隅々にわたる雑巾がけ、御本尊の御前は報恩講の特別な荘厳が為され、境内玄関には報謝団員がまとう肩衣と同じ抱き牡丹の紋が掲げられた幕が張られました。報謝の念溢れる御堂は一体に。

 北潟湖を臨む御堂向かいの蓮如上人記念館では、同じく報謝団員が法要後のお斎(会食)をいただく“御講果非時(おこうはてひじ)”に備えました。

 午後からは報恩講に先立ち、御坊で隔月開講している『和讃講座』が当別院堂衆小谷師により行われました。厚信な北陸の地元門徒が集う御坊での報恩講は、例年、参詣席からもお勤め・お念仏の声が絶えません。当別院御住職殿の御計らいで、本年は半年前よりこの『和讃講座』において、報恩講で勤まるお経の練習も併せて行ってきました。当日『和讃講座』に参加された受講者は、いよいよ本番を前にした最後のお経の練習ということもあり、いつも以上に真剣な眼で正信偈・念仏讃を追い、大きな声で練習に励まれておりました。

そして午後2時、大谷飛鳥本願寺眞無量院御住職殿御直修のもと報恩講が御勤まりになりました。報恩講には京都より別院堂衆。また東京、福岡より眞無量院所属僧徒も上山し出仕しました。御住職殿の調声(声明の始め)に続き、外陣・参詣席から、力強い正信偈が称えられました。

 法要後、御住職殿より直教を賜り、覚如上人の『報恩講私記』、さらには蓮如上人のお言葉より引用された法話を下され、教えに逢わせていただいたご縁を大切に思って仏法求道に努めるよう奨められました。また生活の中に仏法が根付いた吉崎の風土の徳力を讃えられ、子々孫々に美風を伝える抱負をお話し下さいました。

 門徒一同は真剣な面持ちで聴聞し、今一度自分自身の在り方を思い直すよき法縁としました。

 その後、御住職殿を囲んでの御講果非時が行われ、日々の仏恩が和やかに語らわれました。また、餅つきも行われ、御住職殿も笑顔で杵を振るわれました。報恩感謝の一日を過ごした参詣者は、宗祖親鸞聖人の御恩をしのび、阿弥陀如来のお救いをあらためて心に深く味わいました。