平成30年度宗学堂(京都・東京・福岡学院)合同入堂・進級式が執り行われました。
明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは
宗祖親鸞聖人は9歳にて御得度なされる際、青蓮院の慈鎮和尚のもとを尋ねられたのは夜のことだったと伝わっております。慈鎮和尚はもう夜も遅いから明日にしようと勧められた折、親鸞聖人はさきの歌を詠まれ、その場で御剃刀を受けられたのでした。
京都の本山御堂において本年4月1日、ちょうど桜の咲く折、新たに仏法を学び、仏法を生涯の拠り所にせんとの思いを抱いて宗学堂の門をたたく入堂生、そして更なる仏法求道(ぐどう)に励む進級生とを迎え入れる入堂・進級式が滞りなく、賑々しく執行されました。
京都学院(第11期生)・東京学院(第6期生)・福岡学院(第4期生)の各初等科合同入堂式となり、また中等科・高等科進級式も同時開式となりました。
午後2時開式時刻となりました。まずは宗学堂学院長・本願寺眞無量院御住職殿御導師のもと、本山の堂衆僧侶に加え、宗学堂の高等科生である僧徒が外陣に出仕し、宗学堂に入堂する新たな法友を迎え入れる入堂式法要が勤修されました。
中等科生の着座する参詣席からも朗々とした声明が響くなか、本年より初めて仏教を学ぶ初等科入堂生が御本尊・阿弥陀如来に焼香します。先輩学生・僧徒の堂々たる姿は、自身の将来を目の当たりにする思いです。
法要後に入堂・進級生が一人ずつ名を呼ばれ、その返事にも前途への希望を思わせます。本年東京学院に入堂する学生の一人は真のみ教えを求めて、北海道から千里の道を通しとせず宗学堂に通うといいます。
さらに各学院の講師紹介が行われ、普段は京都・東京・福岡の各学院に分かれて教鞭をとる先生方が一堂に会し、学生だけでなく講師自身もまた学んでいく姿勢である旨を新たに入堂・進級する学生に呼び掛けられます。
初等科では1年間、中等科では2年間の学びに入るにあたってのお言葉を、御住職殿より親しく賜りました。お言葉の中では、本山御堂の鎮座する六条山と東本願寺第21世法主・厳如(ごんにょ)上人との御縁を紹介いただきました。続いて、明治初頭の仏教排斥によって存亡の危機に瀕した日本仏教界を牽引し、守り抜かれた上人の御事績を讃えられ、その上人の御院号(お名前)を頂いて眞無量院が設立されたことが紹介されました。あわせて、上人の「勧学布教・学事の振興」という御遺言の実現を目指して宗学堂が開講されたことが述べられました。
「宗学堂においては仏法のみ教えを正しく学ぶことに重点を置いているため、原典・原文をテキストとしています。そのため、初心者には難しいことを学んでいると感じられるかもしれないが、個々の信仰生活に合わせて互いを尊重する関係をもって学べる場にしたい。毎年この日には皆さんの信仰生活の未来に、ともに教えを聞き、歩み、喜びあえる仲間となっているように」との思いもまた仰せられました。
最後に全員が御本尊を仰ぎ、合掌しつつ「恩徳讃(おんどくさん)」を斉唱しました。念仏往生の道をお開き下さった阿弥陀如来のお慈悲と、その御教えを現代まで連綿とお伝えくださった師主・善知識への報恩謝徳の心を声高らかに歌い上げ、新たな年度の修学への決意を新たにしました。