平成29年度 本山報恩講・鐘楼堂落成慶讃法要に出仕・参詣
平成29年11月27・28日。本山にて御正忌報恩講が一昼夜に亘り厳修されました。
報恩講は浄土真宗御開山親鸞聖人の御祥月命日の前後に、聖人への報恩謝徳のために営まれる法要のことで、浄土真宗のみ教えを拠り所とする僧侶・門徒にとって最も重要な法会です。当日は、全国にいる当寺所属僧徒が本山に参集し、聖人の明らかにされた如来のみ教えを改めて讃えました。
27日。午後2時より報恩講 結願逮夜(けちがんたいや)が勤まり、引き続き聖人の俗姓について拝読される御俗姓御文(ごぞくしょうおふみ)の拝読。次に信心の喜びを改めて説く改悔批判(がいけひはん)と続き、最後に御伝鈔(ごでんしょう)上下巻の拝読が行われました。本年は御伝鈔上巻を本山堂衆橘師、下巻を当寺別院堂衆遠藤師が拝読し、その恩徳を讃嘆。真っ暗な本堂内、蝋燭の明かりのみの幽玄な雰囲気のなか、拝読される声が厳かに響き渡りました。
翌28日は、午前8時より報恩講 結願晨朝(けちがんじんちょう)。午前10時より報恩講 結願日中(けちがんにっちゅう)が勤まりました。
結願日中では、本山でのみ勤まる東本願寺独自の声明、坂東曲(ばんどうぶし)が勤まります。坂東曲とは、約800年前親鸞聖人が越後に流罪となった際、船上で念仏を称えられた聖人の御姿を再現した声明作法とも伝えられており、上体を大きく揺らしながら独特の節で念仏・和讃が勤められます。本年も本山堂衆と共に、当寺所属僧徒約50名が、本山外陣を埋め尽くし、迫力のある声明作法で参詣者を魅了しました。
法要後には御法主台下より御親教(ごしんきょう)を久しく賜りました。御親教では、聖人の和讃を引用され、他力念仏についてお示しくださり、理性・知性ばかりを重視し、個性や人間性を置き去りにしている現代社会を嘆かれ、恩を感じることのできる感性が必要であると御教導くださいました。全国から上山した門侶同行参詣者は、台下の御言葉を聴聞し、報恩感謝のひと時をお念仏と過ごしました。
また本年は、報恩講 結願日中と同じ28日に、本山に建立された鐘楼堂(しょうろうどう)の落成慶讃(らくせいけいさん)法要も勤まり、当寺所属僧徒も報恩講に引き続き、この慶事に出仕・参加いたしました。
鐘楼堂落成慶讃法要では、先ず鐘楼堂(しょうろうどう)の除幕式が執行され、僧俗共に御法主台下を始め御一門皆さまと参詣者が一斉に綱を引き、鐘楼堂を覆っている白布の幕を取り除き、堂宇がお披露目されました。建立後はじめて参詣者の前に姿を現した堂宇は、まさに本山に相応しい厳威な意匠。
引き続き、この鐘楼堂の前に荘厳された御本尊の前で、御法主台下御親修による落慶法要が勤まり、法要後は御法主台下による梵鐘の初撞き式が行われました。初撞きされた鐘の音は、心に響く崇高な報恩の音色で、境内を越え京都市内一円にこだましておりました。
式が終わると、この勝縁をお祝いするために特別に作られた、報恩感謝の焼き印が押された本山特製のお餅(報恩もち)が、鐘楼堂基壇より御一門さまの手によって撒かれる餅まき式が行われ、参詣者たちと共に当寺僧徒たちも、このめでたい勝縁のお餅を頂戴し、餅まき後は、法輪サポーターが撒かれたお餅で作った「報恩ぜんざい」を参詣者たちと一緒に食して、この法会を共に喜びました。
本年の報恩講は例年以上に僧俗一緒に、この私がお念仏に出遇い、お念仏に生かされていることを実感できる法会となることができました。僧俗がともに信心のまことを慶ぶ、盛儀な報恩の二日間となりました。