東北地方に広がるお念仏のみ教え 御本尊をお迎えする御遷座法要が勤まる
本願寺眞無量院所属僧徒(北海道・東北教区)である阿部結願師が、現在お住まいの宮城県富谷市(とみやし)の地に、自宅兼、これからの布教活動の拠点となる寺院を建立し、この度6月28日、本山東本願寺から本堂にご安置する御本尊(阿弥陀如来御木像)をお迎えする御遷座法要が、地元の浄土真宗門信徒や、阿部師の大勢の友人が参列し見守る中、盛大に営まれました。
寺院を建立しようという思いの原点は、10年前の3月11日の東日本大震災です。自らも自宅と仕事を失い、その直後と4年前の2度にわたるがん診断。そして手術。余命宣告を受ける中で「仏教を学びたい」と宗学堂へ。そのころから「誰もが気軽に訪れることができる寺子屋を建てたい」と思っていました。
行動は早く、令和元年に土地を探し契約。新型コロナウイルスの影響や工務店の倒産などもあって一時、工事が中断しましたが、令和2年9月に完成。10月31日、自宅を兼ねた2階建ての寺院を建立し、本派の許可のもと仮寺号として宗教団体『結願寺(けちがんじ)』(約200㎡)としてスタートしました。
その後、本派並びに所属する当別院の全面的な後押しを受け、本格的な拠点づくりへ。本山から御本尊をお迎えするため、1階の本堂(約60㎡)を大幅改造。5月28日には御本尊をお迎えするための仏具一式(前卓、上卓、三具足など)が整えられました。
御遷座法要では、この慶事をともに祝うため駆け付けた東本願寺東京声明研鑽会助講師である濱出和暢師と、東京学院の高等科で学ぶ法友の江口明果師(いずれも当別院関東教区)が参勤し、導師の阿部師を中心に賑々しく、また厳かに勤めました。コロナ禍にもかかわらず、この慶事をお祝いしたい、また阿部師の想いを見守り応援したいという人は多く、当初予定していた参列者限定20名を大きく上回る参列希望(仕事仲間や地域の門信徒たち、行政代表ら40余人)を受け、急遽、遷仏法要を2度勤め、皆さまとともにこの慶事を祝福しました。
阿部師は「私の命は多くの人たちのご縁と、阿弥陀如来の大慈悲心によって助けていただいたと思っています。生かしていただいたからこそ、今後は、この結願寺を拠点に、少しでも私が救われたお念仏のみ教えを伝えていく(布教)とともに、人と人とのご縁を大事にしていき、人のために役に立つ活動ができればと思っています。どのような悩みを抱えておられても受け入れ、そして寄り添い、一緒に答えを導き出していきたい」と話しています。